こんにちは!行政書士のマツモトです。
本日は行政書士試験の行政法についてのお話。
行政書士試験において、よく出る問題といえば「最高裁判所の判例に照らし」という判例問題ですよね。
今回この記事で書いていく行政法でも、判例問題はよく出ます。
ただ、行政書士試験について情報収集をしていると、行政法は条文もしっかり押さえておこうというのをよく見かけると思います。
実際、私も六法を一番使ったのは行政法か民法でした。
その点について解説していきます。
なぜ条文が大事なのか?
さて、行政法に限らず条文は大事です。
ただ行政法においては、特に条文を読み込んでおく必要があるかなと思います。
いくつか理由があります。
- そもそも判例問題が作りにくい
- 条文で十分問題が作れる
- あやふやな知識なのかしっかりとした知識なのかが問われる
まず、行政法で裁判というと行政事件訴訟法が思いつきますよね。
行政書士試験の試験問題って、結構順番通りに出てくるんですよ。
行政手続法の問題があって、行政不服審査法がでてきて、行政事件訴訟法の問題を解いて、地方自治法が出てきたらそろそろ行政法の問題は終わり
みたいに。
ということで、行政事件訴訟法が何問も出てくるということはない。
ではほかの例えば行政手続法で作りやすい問題はなにか、となるとルール的にはどうなっていますか?という問題になってきます。
実際の問題を見てみましょう。
令和6年の問11です。
会社Xは、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)に基づく免許を受け
て不動産取引業を営んでいる。ところが、Xの代表取締役であるAが交通事故を起
こして、歩行者に重傷を負わせてしまった。その後、自動車運転過失傷害の罪でA
は逮捕され、刑事裁判の結果、懲役 1 年、執行猶予 4 年の刑を受けて、判決は確定
した。宅建業法の定めによれば、法人の役員が「禁錮以上の刑」に処せられた場
合、その法人の免許は取り消されるものとされていることから、知事YはXの免許
を取り消した(以下「本件処分」という。)。
この事例への行政手続法の適用に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
この問題の答えの肢を示します。
本件処分は、法令上必要とされる資格が失われるに至ったことが判明した場合に
必ずすることとされている処分であり、その喪失の事実が客観的な資料により直接
証明されるものであるので、行政庁は聴聞の手続をとる必要はない。
この答え、条文を知らずに答えを導けるでしょうか?
いい作り方だなと思う点は、条文を知らなければ「聴聞の手続きをとる必要はない」って答えは選びづらくないですか?
~をする必要はないって問題はたいていが×だと資格試験をたくさん受けている人であれば、反射的に判断してしまいがちです。
こういった一般的な試験勘のようなものでは太刀打ちできないのが行政書士試験です。
ただ、条文ではしっかりと、必ずすることとされている不利益処分は適用しないと書かれています。
つまり、知っていれば悩まずにすぐ正解を導けるわけです。
また、あやふやな知識かしっかりした知識かというところですが、行政不服審査法と行政事件訴訟法のように似たような条文が存在する法律があります。
そういった部分で、例えば行政不服審査法の問題なのに行政事件訴訟法の条件が本当らしく出てきたりするんですよ。
これが結構わかりづらくて、勉強し始めの方で苦戦するところでもあります。
問題文や肢をふむふむと読んでいくわけですが、全部読んだところで、正解あったかな?となってしまう。
よく読んでみると、行政不服審査法の問題なのに行政事件訴訟法のことを書いてある選択肢があったりします。
顕著なのが令和6年の問題にもありました。問16です。
行政不服審査法(以下「行審法」という。)と行政事件訴訟法(以下「行訴法」
という。)との違いに関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれ
か。
どっちがどっちかわかってる?ってもろに聞いてきてる問題です。
なので、判例以前に、条文をしっかりおさえて違いを把握しておく必要があるんですよね。
逆にこのあやふや感をつくような問題は作りやすいということです。
わざわざ判例問題を作るまでもないってところでしょうか。
もちろん判例を勉強しなくていいということではない
行政法で判例問題が出てくるのは行政事件訴訟法だけではありません。
なので、判例問題を勉強しなくていいということではもちろんありません。
ただ、ほかの科目よりも条文の理解は徹底しておく必要があるということです。
また、条文を覚えておくことで、判例もすんなり理解しやすくなります。
条文の覚え方で、私がやっていたのは、単純ですが声に出して読むことです。
机の前に座って、しっかり勉強したくない時ってないですか?
仕事で疲れて帰ってきて、すぐに机に向かうというのはなかなかできないものです。
ちょっとソファでゴロゴロしたいですよね?
そういう時にでも、六法を開いて、ぶつぶつ声に出して読んでみてください。
ゴロゴロタイムも、立派な勉強時間になりますよ。
逆に、しっかり机の前に座って、背筋を正して、条文を覚えよう!と意気込んでもなかなか続きません。
なので、リラックスタイムの読書替わりにでも、声に出して条文を読むということを試してみてください。
きっと力になりますよ。